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私はここで週に二回、仲丸と昼食を食べていた。あとの三回はどうやら他の人と昼食を食べているらしい。
今の私の予想ではおそらく、葵という少女と昼食を食べているのだと思う。そのことが本当かどうかはわからないが。
これからもここで仲丸と昼食を食べるのには気が重い。そもそも葵と付き合いだしたのだからもう昼食を一緒に食べることはないのかもしれない。
そう考えると、安堵する自分がいた。
私はそのベンチに座りながら屋上を見渡す。
すると、手すりのところにあるものを見つけた。それは一枚の封筒だった。手すりにセロハンテープで軽く張り付けてある。
私はその封筒を手に取り、宛名を確認する。そこに書かれていたのは私の名前だった。
誰からだろう?
私はそう思いながら封を開け、手紙を読んだ。
『彩沙希へ いきなりで驚いたかもしれない。ごめんな。俺はさ、もう彩沙希と一緒に昼食を食べることができない。本当にごめん。好きな人がいたんだ。その人に昨日、告白されてさ。人気者だった俺に告白してきた人としては初めてだった。だから嬉しかった。じゃあ、どうしてこの手紙を書いたかって?彩沙希のことも好きだったからだよ。迷ったけどこうすることにした。もし、彩沙希の思いを踏みにじってしまったらごめん。今までありがとう。さようなら。仲丸より』
その手紙を読んでいる間、私の瞳から溢れた涙が頬をつたるばかりだった。
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