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そして手紙を読み終わった途端、私はその場に泣き崩れた。
子供のようにやけくそに泣いた。きっと誰かには聞こえてしまっているのだろう。でも今はそんなのどうでもよかった。
夢のように楽しかった日々は突如として儚く打ち切られたのだから。
私の淡くて脆い心は絶望の渦に呑み込まれたまま。
悲しい。辛い。寂しい。もう一緒になんかいたくない。いられない。
でも……。
最後に私からもこの恋に別れを告げたい。
そう思って私は胸ポケットからメモ帳とペンを取り出し、文字を書き出した。
『仲丸へ 手紙ありがとう。私も仲丸が好きだったよ。でも、人気者で正反対な私とは釣り合わないってわかってから諦めていたんだ。それでも好きという気持ちは離れてくれなくて、今も涙ばかり。それでも私を少しでも好きでいてくれていたことは嬉しかったよ。楽しい初恋をありがとう。さようなら。 彩沙希より』
涙を流しながら書いたからか、滲んでいて読みにくい文字もある。こんな状況なのだから仕方ないだろう。
私はそう思いながら、メモ帳から文字を書いたところを切り離し、仲丸からの手紙をメモ帳に挟み、封筒の中に私が書いた手紙を入れ、宛名を彩沙希へのところを消して仲丸へと書き、元のあったように手すりに貼り付けた。
同じようにしてあればきっと仲丸は気づいてくれるだろう。
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