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「まぁあの顔と若さで肩書社長ってもう最強としか言いようないもんね。クールな感じもいいって言われてるみたいだよ」 「い、イケメンだもんね〜、ははっ……」  凛子の口からは乾いた笑いしか出てこなかった。  凛子の幼なじみの優はとにかくルックスが最強だ。艶めいた黒髪にシュッと下奥二重の瞳は鋭くて、バランスの取れた高い鼻との相性は抜群。唇も厚すぎず、しゅっと口角のあがった綺麗な形をしている。  社長ながらに年齢はまだ三十六歳という若さだ。モテないはずがない。  けれど優がモテていること、それは凛子にとっては想定内のことだった。十四歳年下の凛子は今までの人生、優がモテている所しか見たことがない。 「……でも、かっこいいだけじゃなくて、中身もいいんだよ」  ガヤガヤと新入社員で賑わったホールにボソリと呟いた凛子の言葉はかき消された。 
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