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追いかけても追いかけても、あたしはキミに追いつけない。
鬼ごっこをすればあっという間に遠くまで行ってしまうし、テストの点数はいつだってあたしよりも少し上で。唯一勝てていた身長は、中学入学と同時にどんどん越されていって、力も強くなってしまった。
並んで歩いていても、いつの間にかキミはあたしをおいて一歩も二歩も先を行ってしまう。
ずっと並んでいられると、ずっとキミの前にはあたしがいるんだと思っていたのに。
キミの隣には、いつの間にか知らない女の子が歩いている。
叶わない恋だと、分かっている。
あたしがずっと追いかけてきたキミの背中。
まだ、視線だけは追い続けている。
「なにやってんだよ、どんくせぇな」
ほら、そうやって、追いかけるあたしのことをたまに振り返ってくれて、また並走してくれるから。
「……う、うるさいなぁ」
あたしは、キミのことをいつまでも、追いかけてしまうんだ。
この先、交わることのない平行線上の幼なじみ。
いつまで追いかけ続ければ、またキミに追いつけるんだろう。
道のりは、果てしなく遠いのかもしれない。
勇気を出せ、あたし。
そしたら、なにか変わるかもしれない。
でも、そんなの怖いから、今はひたすらに平行線を辿る。キミの背中を追いかけて。
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