昼下り

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昼下り

 蒸し暑さに目が覚める。12時を回った処。 夕べは帰宅して、風呂に入ってそのまま爆睡。 ぼーっと起きて行くと、ばあちゃんが団扇を扇ぎながら、素麺を食べていた。 そういえば空腹だ。 「ばあちゃん、おはよ。俺も食う」 「何がおはようってもう昼だよ。とっくに学校行ったかと思った」 「夏休みです」 「先に顔洗って」 「ふぁーい」 ばあちゃんは98歳になる。10歳くらいサバ読みしても全然おかしくないほど元気だし、永年農作業をしていた割に腰も曲がっていない。 祖母は俺が生まれる前に亡くなっていて、ばあちゃんは曽祖母だ。 「最近は、人生100年時代だそうだから、あと20年は頑張らないと」 などと言って笑う。ばあちゃんなら120歳くらい余裕で大丈夫そうだ。 寝過ぎで瞼が腫れている。 ワンゲルサークル仲間4人で、河口湖界隈をドライブ半分、歩きほんの少しで出掛けた。 ルートを外れたせいで、予定より大分歩いてしまった。 俺の家は、結構な田舎だ。 大学に入ったら絶対一人暮らしをするつもりだったのに、父さんの 「俺だって通勤してるんだから、リクの1人暮らしは10年早いワ」 のひと言で却下。片道2時間近くかけて通学している。 何処へ行くのにもやたらと遠い。やたらと歩く。 その上、ワンゲルとか、俺もタイガイだな。と思う。 サークル入部は、まぁ一寸不順な動機もなくはなかった。 同じ学部で、同じ教室で、電車で一緒になり、のドストライクな女子が、ワンゲルに入ると聞いたからだったのだが、1コ上の先輩の彼女だった。 先に言え。早く言え。って感じ。 先輩もいい人っぽいし、別にいいけど。 一気にトーンダウンして、気の向いた時にだけ出席するつもりが、高校から一緒の奴が容赦なく誘ってきやがる。 結局、俺は優柔不断なのだと思う。
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