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「それはうれしいです」
と優さんは、笑顔で言った。
優さんの旅立つ日。
優さんの家には、見送りの人がたくさん集まっていた。
「優さん」
と私は、声をかけて近づく。
「花さん」
と優さんは、私の方を向いたので、
「これ」
と言って、昨日貰ってきたお守りを優さんに手渡す。
「花さん、ありがとうございます。
これで無事に帰ってこれます」
と優さんは笑顔で言って、深く頭を下げる。
「気をつけてね」
と私は、泣くのを堪えながら言うと、
「はい」
と優さんは笑顔で言い、
「それでは皆さん、いってきます」
と言って、集まった人達に深く頭を下げて、垣根の入り口を出ていった。
優さんの後ろ姿が見えなくなるまで、各々声をかけていた。
私は、
「早く帰ってきて」
と大きな声で言っていた。
(早く会いたい)
と優さんに貰った赤い芍薬に向かってずっと願っている。
「雨、降って」
と願う日が早くくることを望んで。
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