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しばらくフローラと話をしてスッキリとした所で店を出ようと通りに出ると、大声で叫ぶような話し声が聞こえてきた。
「薬が無いだとっ?!」
「もっ、申し訳ありません!うちにはバジリスクの毒に効くような薬などなく……」
「もっと薬を多く取りそろえているような薬屋か医者はないのか!探してこい!!」
「は、はい!」
「風の病院まで運びますか?!」
「いや、1番近い花の門まで2時間近くかかる。それまでもつかどうかすら怪しい。クソっ! この際なんでもいい! 解毒剤をありったけ持ってこい!」
「これ以上触れてはなりません!ダイン様にも毒が移ってしまいます!」
「んな事言っている場合かっ!」
先程から怒声をあげている男は苦しそうに呻いている男の服を脱がすと、医者と思しき者から布を受け取り、腕の付け根を締め付けるようにして巻いていく。どうやら毒がこれ以上回らないように応急処置を施しているようだ。
呻く男の手は、青黒くなっている。毒がその手の方からどんどんと回ってきているのか、手から腕へと皮膚の色を青黒く染めていく。
バジリスク。
全身毒だらけのその蛇が通った跡は、あらゆる生き物が死に絶えて砂地になるのだと言う。非常に強力な毒のせいか、医者の方も患者に触れるのが怖いらしくビクビクしている。
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