1. 夏の神

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「え、エレノア……私にはフローラ達がいる事だし、ジュノを他のお客様の所へ挨拶に連れて行ってくれるかしら」  同じくアイリスの傍で控えていたジュノをダシにして、余計なことをさらに口走る前に去ってもらおう。 「かしこまりました。ジュノ、いくわよ」  2人を見送るとフローラ達がクスクスと笑い出した。 「アイリスも大変ね。それで、セリノスはこの後家が出来るまでどうするの?アイリスの家だと狭いんじゃない?」  フローラに家の場所を教えた後、セリオンとヴィーナスにも教えて良いと許可を貰えたので、3人はアイリスの家に来たことがある。 「ええ、だから今日からは風の神殿に泊まってもらうことにしたの。こちらの方が広いし、虹の天使よりも風の天使たちの方がしっかりと教えてくれるでしょうし」 「しっかりと、ねぇ。あぁ、怖いわ」  3人ともがブルっと身震いさせた。風の神殿は指折りの厳しさで有名だ。 「セフィロス様は今、地上に降りてらっしゃるんだろ?しかも今回は10年以上はかかるって言うじゃないか」 「前回セフィロス様がたった1年降りていただけだったのにアイリス様、魂が抜けてしまったのかの如くどんよりとしてましたよねぇ。大丈夫ですか?」 「うぅ……」
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