1. 夏の神

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「アイリス様に、次はどんな子供が生まれるのか楽しみですね!」 「そうね。最上級神様達との子だけでも、まだあと3人は生まれるものね。あと上・上級神と中・上級神との子供ってなると結構な人数だわ」 「2人とも気が早いよ。やっと1人目の披露目の儀をしてるって言うんだから」  3人の会話にアイリスは頭が真っ白になる。 「つぎ……の、子……」  なんで今まで気が付かなかったのだろう。  神の子は一組の男女に一人だけ。  生まれて一番初めにアレクシアから教えてもらったことだ。  いずれ自分も色んな男神との子供を生むんだろうと、そう思ったのではないか。  アイリスはセフィロスと結婚の契りを交わしている。でもそれは、天使たちのそれとは違う。  貞操観念も、不倫などと言う概念もない。  主の許可さえあれば、他の神と交わり神気を与える事もあるし、子を成すことも当然ある。 『其方にとっては最初の子で、私にとっては最後の子だな』  セリノスが生まれた時に言っていたその言葉の意味を、今になって気がつく。 「アイリス? どうしたのよ。顔色が悪いみたいだけど」  フローラがパタパタとアイリスの顔に手を振る。 「あ……、えっ、そうかしら。ちょっと気が抜けたみたい」 「そう? それなら向こうで少し休みましょ」    その後の事は覚えていない。  みんなと何を話したのか、セリノスと別れの言葉を何と交わしたのか、どうやって帰ったのか。  アイリスの心から、色が消えた。
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