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御者に運賃を支払って降りると、花の門をくぐって水の門へと出た。少し先には見慣れた淡い水色をした水の神殿が見える。
リアナ様いるかな……
特にアポは取っていないので居るかどうかは分からない。居なければ帰ってくるまで神殿で待たせてもらおう。
神殿の方へと足を向けたその瞬間、不意に誰かに腕を掴まれた。
「ひゃっ……!」
「アイリス様、驚かせてしまって申し訳ありません。俺です、ダインです」
「だ、ダイン様……?!」
今一番、会ってはいけない人に会ってしまった。
ダインに会っている所など風の天使にでも見られたら大問題だ。早く話を切り上げて水の神殿に行かなければ。掴んでいる手を早く離して欲しい。
「ちょうど水の門をくぐろうとしていた所だったんですよ。アイリス様にお会い出来て良かった。手紙をお送りしたんですけどなかなか返信が来ないのでどうしたのかと思っていたんです」
「それは、その……」
「今日はローブを着ていないのですね」
「え? あっ……」
そう言えばちょっと家の周りを散歩をするつもりで出掛けたから、ローブを着ていなかった。通りで皆からジロジロと見られるわけだ。
「良ければこれから俺と出掛けませんか? アイリス様をお連れしたいところがあるんですよ」
「いえ、私その……これからリアナ様に会いに……ひゃぁ?!」
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