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掴まれていた腕をぐんと引かれて、ダインの傍にいた大きな鹿の様な生き物の背に乗せられた。恐らくはダインの神獣なのだろう。ダインが乗るや否やもの凄い速さで駆け出した。
「あのっ、ダイン様。降ろしてください。私、リアナ様に用事があって……」
必死にダインに訴えてみても聞いているのかいないのか。
風の音で聞こえないのかな……?
ダインは時々強引なところがあるけれど、今日のは少しおかしい気がする。
少し……?
いや、違う。
目が据わっている。
――其方の神気に当てられているかもしれない。
そうセフィロスは言わなかっただろうか?
セフィロス様……!! 違う、エルピスだ! エルピスを呼ばないと。
焦る気持ちを抑えて、心の中で必死にエルピスを呼ぶ。
いつも花の門を使って出掛けた時に待機していてくれる森の中に居るだろうか? それとも家の近くの森へと帰ってしまったかな……。早く来て、早く……!
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