12. 命令

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 どこの森の中なのか分からないけれど、ようやくダインの神獣が足を止めた。 「ここは一体……?」 「アイリス様、申し訳ありません」  アイリスの後ろに乗っていたダインにそのままロープで縛り上げられて、神獣の背から担ぎ降ろされた。 「このロープは……?!」  ヒュドラの抜け殻が編み込まれている。神気を抑え込まれてはこれ以上エルピスを呼べない。  地面に降ろされたけれど肩を掴まれて起き上がれない。  アイリスの瞳を覗き込んでくるダインの瞳は、どこか遠くを見ているようにぼんやりとしている。 「アイリス様……俺にその神気を分けて下さいませんか?」 「ダイン様……おやめ下さい」 「ズルいじゃありませんか、セフィロス様だけその神気を欲しいままにありつけるなんて」 「どうか正気を取り戻して下さい……」  誰かに会う時には極力神気を抑えていたのに……!  それでもゆっくり、少しずつ、でも確実にダインを酔わせていたのだろうか。  アイリスの瞳から流れ落ちる雫をダインがペロリ、と美味しそうに舐めとった。
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