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どこの森の中なのか分からないけれど、ようやくダインの神獣が足を止めた。
「ここは一体……?」
「アイリス様、申し訳ありません」
アイリスの後ろに乗っていたダインにそのままロープで縛り上げられて、神獣の背から担ぎ降ろされた。
「このロープは……?!」
ヒュドラの抜け殻が編み込まれている。神気を抑え込まれてはこれ以上エルピスを呼べない。
地面に降ろされたけれど肩を掴まれて起き上がれない。
アイリスの瞳を覗き込んでくるダインの瞳は、どこか遠くを見ているようにぼんやりとしている。
「アイリス様……俺にその神気を分けて下さいませんか?」
「ダイン様……おやめ下さい」
「ズルいじゃありませんか、セフィロス様だけその神気を欲しいままにありつけるなんて」
「どうか正気を取り戻して下さい……」
誰かに会う時には極力神気を抑えていたのに……!
それでもゆっくり、少しずつ、でも確実にダインを酔わせていたのだろうか。
アイリスの瞳から流れ落ちる雫をダインがペロリ、と美味しそうに舐めとった。
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