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神気は体液に多く宿る。
涙ですら例外では無い。
「はぁ……涙ですらこの神気……。もっと欲しい……もっと……」
嫌だ、嫌だ、嫌だ……!!!
自分の意思とは関係なく、ダインの神気が口の中に捩じ込まれ、流れ込んでくる。
汗の一滴も逃すまいとペロペロと犬のように舐めるダインの顔は紅潮し、トロンとした顔でこちらを見返してきた。
「ふっ……、うぅ……やめて下さい……お願いです」
セフィロス以外の神の神気が、自分の中で混ざり合う。
何もかもがもう遅い。
自分の意思でダインに会ったわけでもここに連れてこられた訳でも無くても、全ては自分がいけなかったのだ。
ちゃんと神気をコントロール出来ていれば、
ちゃんと天使と一緒に出掛けていれば、
ちゃんとセフィロスの言ったことを守っていれば、
……あんなに私の事を考えてくれていたのに。
いつでも私の身の安全を最優先にしてくれていたのに。
例え愛情表現が苦手だとしても、きちんと分かっていたのに。
なぜ一瞬でも疑ったりしたのだろう。
必要とされていないなんて拗ねたりしたのだろう。
「助けて……セフィロス様」
再び流れ落ちた涙は舐め取られることなく、ヒュっと言う音と共に風に巻き上げられた。
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