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一瞬の出来事過ぎて、一体何が起きたのか分からなかった。
すぐ側の木に打ち付けられている真っ赤な人形が、ダインだと気づくのに何秒かかったのだろか。
「アイリス様!」
「じゅ、ジュノ……、セフィロス様……」
駆け寄ってきたジュノが、直ぐに自分のローブを脱いでアイリスの身体に巻き付けてくれた。
すぐ近くにはエルピスとセフィロスの神獣・スレイプニルが鼻息を荒くして控えていた。
「アイリスに何をしていた……?」
大気そのものが怒りに満ちているかのように重く、気を抜けばそのまま切り裂かれてしまいそうな程に鋭い。
ビリビリと草木が大気の震えに呼応して揺れている。
セフィロスが一歩近づく事に圧が増すのか、触れてもいないダインの口から血が吹きこぼれる。
その身体は風の力で切り裂かれたのか、ところどころちぎれ落ちそうにぶら下がっている。
八つ裂き。
頭の中に恐ろしい言葉が浮かんできた。
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