12. 命令

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 一瞬の出来事過ぎて、一体何が起きたのか分からなかった。  すぐ側の木に打ち付けられている真っ赤な人形が、ダインだと気づくのに何秒かかったのだろか。 「アイリス様!」 「じゅ、ジュノ……、セフィロス様……」  駆け寄ってきたジュノが、直ぐに自分のローブを脱いでアイリスの身体に巻き付けてくれた。  すぐ近くにはエルピスとセフィロスの神獣・スレイプニルが鼻息を荒くして控えていた。 「アイリスに何をしていた……?」  大気そのものが怒りに満ちているかのように重く、気を抜けばそのまま切り裂かれてしまいそうな程に鋭い。  ビリビリと草木が大気の震えに呼応して揺れている。  セフィロスが一歩近づく事に圧が増すのか、触れてもいないダインの口から血が吹きこぼれる。   その身体は風の力で切り裂かれたのか、ところどころちぎれ落ちそうにぶら下がっている。  八つ裂き。  頭の中に恐ろしい言葉が浮かんできた。
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