12. 命令

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「だめ……」 「アイリス様もう大丈夫ですよ、落ち着いてください。あっ……!」  ジュノの静止を振り切って、振りあげようとするセフィロスの腕をとった。 「セフィロス様っ、これ以上はおやめ下さい! 死んでしまいます!!」 「だから何だ? この者はそれだけの代償を払う必要がある」 「私がいけなかったのです。私がセフィロス様の御命令に背いたから……ちゃんと神気をコントロール出来なかったから……ダイン様を酔わせてしまったのは私のせいなのです。ですからどうか命だけは……!」  セフィロスはしがみついて懇願するアイリスの顔と、血塗れで虫の息ほどしかしていないダインとを交互に見やると、上げていた手を下ろした。 「セフィロス様! アイリス様!」  エルピスの後を追いかけてきたのだろう。あとからやって来たノクトとエレノアが馬から降りて駆け寄ってきた。 「エレノアとジュノはアイリスを連れて虹の神殿に先に帰れ。リアナに聖水を用意するように伝えておくから飲ませるように。私とノクトは後始末をする」 「後始末……?」 「大丈夫だ。其方の恩情に免じて命までは取らない」 「アイリス様、参りましょう」  ガタガタと震える手をセフィロスは優しく握り返してくれると、そのままエレノアに渡された。
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