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2. 解毒
「アイリス大丈夫? セフィロス様が天界に帰ってくるまでやっと半分経ったっていう所なのに」
フローラが呆れ顔でお茶を飲む。
セフィロスが地上に降りてしまってからと言うもの、いつも以上にフローラやセリオン、ヴィーナスが遊びに来てくれたりお出かけに付き合ってくれたりと、気にかけてくれている。
今はフローラと2人、アイリスの家から1番近くて大きな街のカフェに入りお茶をしている所だ。
「だ、大丈夫。こうやってフローラとも沢山会えて嬉しいし、セフィロス様とも手紙のやり取りはできるから」
「この前エレノアに会ったけど心配していたわよ」
みんなが心配してくれているのは分かっているけれど、どうにもこうにも力が出ない。
「10年なんてすぐだから」
元気の無いアイリスを見てみんなが皆、そう言う。
でも、アイリスがずっと重い気持ちのままなのはセフィロスに会えないからではない。
もちろん会えない寂しさはある。ただそれ以上に、次にセフィロスに会う恐ろしさの方が勝っていた。
他の誰かと番うことを命令されたら。
それを恐れること自体がおかしいのは分かっている。生涯誰か一人とだけなんて有り得ない。神ならみんなそうだ。
そして自分は上・上級神という天界で2番目に高い位にある。褒賞として神気を与える行為だって、本来ならする立場にある。
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