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「も、もしお会いしたら……きっと、りっ……離縁されてしまいます」
もうこんな面倒事ばかり起こす女神など、いい加減愛想を尽かしてしまうだろう。
どんなに真面目で責任感が強く、実直な性格のセフィロスでもきっと手元に置いてはくれない。
迷惑だとは分かっていてもなお、妻と言う座に居座っていたい。同じだけの愛を欲しいなんて言わないから傍に置いて欲しい。
「そんな事を心配していたの? 仕方のない子ね」
嗚咽を漏らして泣くアイリスの背をリアナは優しく摩ると、ドアの向こう側に向かって話しかけた。
「聞いていたでしょう? アイリスをこんな不安な気持ちにさせるなんて、ほんと貴方って気が利かないわ!」
いつから居たのか。
セフィロスがドアの前に立っていた。
「アイリス、私が其方を手放す訳が無いだろう」
素直に頷き返せたらどれだけ良いだろう。
今はそう言ってくれても、気持ちなどすぐに変わってしまう。
永遠の愛を誓いあっても、天使たちが別れていくのを何度も見聞きしている。
何組もの神達が結婚の契りを切ったのを見てきた。
「私の言葉を信じられないか?」
セフィロスがアイリスの顔を覗き込んでくるけれど答えられない。
「それならこうしよう。リアナ、其方には証人になって欲しい」
「……良いわよ」
セフィロスの言葉にリアナは困ったような顔で笑い返した。
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