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一体何の話をしているのか。
よく分からないまま2人を見つめていると、セフィロスはリアナの前に跪いた。
「私、風の神・セフィロスは虹の神・アイリスからの申し入れが無い限り、結婚の契りを解くことは無いと水の神・リアナに誓う」
「了。その代償は」
「私の命と引き換えに」
「……了。私、水の神・リアナはこの誓いの証人として術を施すものとする」
リアナはセフィロスの額に手をやると、一瞬だけ薄水色のような光が溢れた。
「これで私が一方的に結婚の契りを切れば、私は死ぬことになった。どうだ、これで少しは安心出来るか?」
「なっ……そんな……!」
驚愕のあまり絶句してしまう。
そんな誓いをあっさりと立ててしまうなんて信じられない。
「其方を安心させたくてしたのに、そんな顔をしないでくれ。そろそろ傷を治そう」
セフィロスがアイリスの体に手を滑らせると、フワリと暖かい風が吹く。
そのままその手をアイリスの頬へと寄せたセフィロスが微笑みかけてきた。
「今度は私が憂う番だ。いつ其方に愛想を尽かされて、離縁の申し出をされないかと案じなければならなくなった」
「そんな日は永遠に来ません……。ですから憂う必要なんてありません」
セフィロスに腕を伸ばして抱きつくと、今度はエレノアの助言が無くてもぎゅうっと抱き締め返してくれた。
「さーて、おじゃま虫は退散しようかしら。ほらみんな、行って行って!」
開いたドアの前に集まって見ていた天使たちが、リアナにグイグイと押されて「はぁーい」と元気よく返事をしている。
みんなにはとんだ心配をかけてしまった。
「ふふっ、セフィロス様。天使共々これからもどうぞよろしくお願いします」
重ね合う唇からは、セフィロスの春風の様な甘い神気が流れ込んで来る。
証人は居なくても、アイリスにも誓える。
永遠の愛を。
おわり
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