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田所義夫の胸中
俺は世界を狂わす麻薬王に登り詰めた。ここまで来るのは筆舌に尽くし難い苦難があった。
俺は潤沢な資金を得たが、何かが物足りない。俺は麻薬や借金で命を絶つ者を数えきれないほど見てきて気づいた。人の生死を見定めることは麻薬で稼ぐことよりも楽しいことだと。
人が死ぬ時の苦痛や悔しさ、恐怖に歪んだ顔を眺めるのはどんな娯楽よりも楽しい。俺は新たな殺し屋組織を創設することにした。そのためには裏世界で実績のある旧体制の殺し屋組織が邪魔だった。
金で組織を買収しようとしたが、事もあろうに逆に俺を殺すと脅してきた。世界の麻薬王が舐められたもんだ。
軍人や歴戦の猛者を護衛につかせた。仕事が一段楽したので、久しぶりに広大な別荘で愛人と楽しもう。愛人は俺がこの世で唯一気を許せる相手だった。
俺はもう七十を過ぎているが、若い女がいい。身も心も癒すのは若くて綺麗な女だ。俺は愛人に金を湯水のように使わせている。
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