ライバル

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ライバル

わたしは今、国語の授業を受けている。 先生のゆったりとした声に眠くなった。 「こら、望月!」 先生の声にビクッとなる。 その瞬間目も覚めた。 「授業中に寝るなっ」 先生は教科書でわたしの頭を軽く叩き、 教壇に戻って行った。 「文香〜また徹夜して小説書いてたんでしょ?」 莉子が小声で話しかけてきた。 「そうよ、打倒マリー!!」 「程々にしなよ、勉強にも支障出るし」 心配そうな莉子にわたしは 「だーいじょーぶだよー」と笑顔を見せた。 でも一週間後にあった国語のテストは全然大丈夫でなかったのである……。 ○○○ コンテスト結果発表の日 わたしはドキドキしながら結果を見る。 大賞『ユーレイちゃんと悪魔様』るる 金賞『鈴木くんが尊すぎる!!』R わたしたちは入賞していなかった。 そんなぁ。この三ヶ月間、頑張って書いたのに。 わたしはガクリと項垂れる。 『わたしたち、入賞してなかったわね』 マリーからメッセージが届いた。 『この勝負引き分けだね』 送信。 わたしは、ため息をついた。 『あら、何言ってるの? あなた優秀作品に入ってるわよ』 え? わたしは慌てて結果発表のページを見る。 優秀作品『ロボットみたいな君と』ふみふみ 「嘘」 優秀作品にわたしの作品が載っていた。 「やっと勝てた」 嬉しくて涙が溢れそう。 『おめでとう、文香。でもわたしに追いつくにはその百倍も頑張らないとね』 ムッ。 『マリーは優秀作品に入ったことも無いくせに』 ふふん。 何も言い返さないマリー。ざまぁ。 『誰にも言ってなかったんだけど』 え?何なに? 『「君と七日間の恋をする」が書籍化されることになったのよ、だから勝負はわたしの勝ちね』 「えっ!」 マジで?! 自分のことみたいに嬉しい。 『おめでとう! でも、コンテストにはその小説応募してなかったわよね?』 気になって聞く。 すぐに返事が帰ってきた。 『まぁ、わたしの実力ってことかしら?』 ムッカーー!! 腹立つ!! 『次は絶対書籍化されるんだからーーっ!!』 『やってみなさい、わたしに追いつくまで』 わたしたちは永遠のライバル。 だけど、同じ目標を持つ仲間、友達だ。 わたしは新作のプロットを書くため、 ノートを開いたのだった。 〈終わり〉
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