神作家

1/1
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

神作家

わたしはそのウェブ小説を読んで涙を流した。 どうして、こんなにも表現が豊かで、 人を感動させるような小説が書けるの? まさしく神作家。 わたしの名前は望月文香。 小説家を目指している高校二年生だ。 わたしが見ていた小説は 『君と七日間の恋をする』というWeb小説だ。 主人公は七日間しか記憶を保持できないという奇病を 患っていて、病院で出会った男子に恋をする。 そして、彼女もまた彼に恋をするが、 主人公は彼を忘れていて。 彼女は彼に何度も恋に落ちるが だんだん、記憶を保持できる時間が少なくなっていき、完全に彼のことを忘れてしまう。 二年後に病気の治療薬が完成し、全てを思い出した 主人公と男子は抱き合う。 そこで物語は終わった。 テンポも良くて読みやすいし何より表現が豊か。 友達の莉子が面白いよと勧めるので 読んでみたら感動してしまった。 『私も小説家を目指してます!どうやったらこんなに素敵な小説を書けるんですか?』と 作者の『マリー』にメッセージを送る。 すると、すぐに返事が帰ってきた。 『あなたの小説はつまらないわ。それで小説家になれると思ってるの?』 はぁーーっ?! せっかく読者が褒めてるのになんてこと言うのよ! 「絶対にあなたを追い越して神作家、いやスーパー神作家になってやる!!」 わたしは言葉に出したことをそのまま文章に書き 送信した。 『やってみれば?』 画面の向こうで意地悪く笑っているのが見て取れる。 こうして、わたしたちはライバルになったのだった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!