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色は匂へど 22
流が身体を急に下へずらし、僕の屹立を口にちゅぷっと含んだ。
先端が濡れていたのを知られてしまうのが恥ずかしくて、腰を揺らして逃げようとしたが、力尽くで抱きしめられた。
じっくりと味わうように、口腔内へ吸い込んで行く。
「あっ! いやだ……」
ビクビクと過敏に震える身体は流にがっしりと押さえ込まれ、少しも動けない。
あまりに慣れない行為に怯み、羞恥にカタカタと身体が震えてしまった。
「大丈夫か」
「うん,なんとか」
「濡れているな」
流は口を一度外し、じっとその部分を見つめた。
僕は感じていた。
弟の……流の愛撫に蜜を溢れさせていた。
「こんなにとろとろになって,次々出てくるぞ」
「いっ……言うなっ……そんな風に」
感嘆の声に羞恥心が募っていく。
流はまるでご褒美をもらった子供のように、甘い飴玉をしゃぶるように丹念に舌先で転がしながら舐めた。
最初は怖かった舌の動きに、次第に僕の身体も悦び出した。
「流……流…」
束ねていた髪を解いた流は雄々しかった。
櫛を通すように髪に触れてみた。
小さい頃そうしたように、流を手で感じた。
「余裕だな、翠」
「あっ……あっ……うっ」
流は意地悪だ。
わざと焦らすように快感のポイントを外し舐めて吸ってを意地悪く繰り返すなんて。
僕も自ら腰を揺らして、股間を流の唇に押し付けるような動きをしてしまった。
もう受け身ではいられなくなった。
快楽のポイントを突かれ、亀頭に舌をゆっくりねっとりと這わされ、舐めまわし追い詰められていく。
もう駄目だ……どうしよう。
「あっ……んっ…ああぁ」
卑猥な水音に煽られて、出したこともない艶めかしい声をあげてしまった。
「もう……出るっ! 出てしまうから離してくれ!」
流の頭を涙声で押し返すが、力が入らないよ。
「いいから出せ! そのまま!」
「駄目……駄目だ。流にそんなことは出来ない」
「欲しい。翠の何もかもが欲しい。翠から放たれるものは一滴たりとも逃したくない」
「そんな」
僕は追い詰めらていた。
もう一寸も逃げる余地がない場所まで。
「流、駄目だ……もう出る」
弟の流に自分のものを咥えられるという現実に震えながらも、抗うどころから自ら腰を振って強請るような真似をしていた。
最後のトドメと言わんばかりに、流が卑猥な水音を立てながら、鈴口に舌先を突き刺すように刺激を与えてきた。
「はぁっ、うぅ……」
もう息も絶え絶えだ。
頭の片隅にこのままでは流の口を汚してしまうという危惧が過り、必死に離すように訴えたのに聞いてもらえない。
流の逞しい手によって竿を扱き上げられると、もう沸点はそこまで来ていた。白くスパークする頭。熱が上がりきる感覚と共に僕のものも勢いよく弾けた。
いや正確には僕から放たれた白濁のものは、そのまま流の口の中へ吸い込まれてしまったのだ。
「なっ、なんてことを……馬鹿っ、流の馬鹿!」
思わず覆いかぶさっている流の逞しい胸をドンドン叩いてしまった。流は手の甲で濡れた口を拭いながら、余裕のある笑みを浮かべていた。
「翠……ありがとう。長年の夢が叶った」
「はぁ夢って……流はずっとそんな夢を見ていたのか」
呆れるような……おかしいような、ずっと弟として傍にいてくれた流の頭の中を覗き見したような気分だ。
「くくっ、馬鹿だな」
「あっ翠、笑うなよ。せっかくのムードが台無しだ」
「悪かった」
「翠、なぁ気持ち良かったか」
改めて聞かれると、耳まで赤くなってしまう。
でもここは正直に答えることにした。
「ん……良かった」
すると力尽きて萎えた僕のものを、流がつぅーっとなぞりながら、耳元で囁いて来る。
「翠のここ、想像通りほっそりしていて綺麗だ。きっと色も綺麗だろうな。なぁ電気をつけてもいいか、よく見てみたい」
「なっ! 駄目に決まっている! それにもう触るなっ」
「ちぇっ、じゃあ続きをしてもいいか。このままじゃ俺が辛い」
幼い頃のように、ふてくされた声を出す流が可愛く思えた。さっきまであんなに強引に僕の身体を制御していたのに、今はまるで耳の垂れた犬のように従順だ。
確かに……こんな所で終わりにしたら可哀想だと、長年染み付いた兄としての庇護欲が掻き立てられた。
僕は流に弱い。
「この先もちゃんと受け入れるから、そんな顔するな」
僕は男性同士のセックスへの知識が乏しい。何処に何を挿れるのかは分かっているが未知の世界だ。
正直に言うと、戸惑いもかなりある。
でもそれ以上に僕も流を欲していた。
「本当にいいのか」
「流がこのままでは辛いだろう」
「翠……ありがとう、助かったよ。正直もう痛い位に勃っているから」
「えっ、そうなのか。どれ?」
目を逸らして直接見ないようにしていたが、流の下半身を確認すると……
それは驚くほど獰猛に勃っていた。
勃起した状態を直接見たことがなかったので焦ってしまった。
「どうだ?」
流が嬉しそうに聞いてくる。
それは僕のと違って……驚くほど……
「……立派だ」
無意識に思わずとんでもない感想を呟いてしまったのを、その後、激しく後悔した。
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