それは3人から始まった

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 宿に着くとちょうど宴会が始まる所だった。棚橋さんとは二次会に一緒に行く約束をしてそれぞれの席に着いた。  宴会で社長にお酌に行った。先に行ってしまった恨み言のひとつでも言いたかったが、ほろ酔いでご機嫌そうな顔を見たらその気も失せた。 「社長、無事で何よりでした」  私がそう言うと社長は私に顔を近づけそっと囁いた。 「ゆっくり話ができたみたいだね。邪魔して悪かった、村瀬さん」 「えっ」  社長はわざと先に行ってしまったのだ。私と棚橋さんを2人きりにするために。そして私の名前も覚えていた。  まさか社長もおいてけぼり作戦の一味だったりして。まさか、まさかね。 〈終〉  
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