それは3人から始まった

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「僕トイレ見に行ってくるよ。もし倒れてたらいけないから」 「ですね。お願いします」  高齢者なので何が起きるか分からない。棚橋さんはトイレの方へと走って行った。私は不安な気持ちで待つしかなかった。 「いなかった」 「え!」  トイレに社長はいなかったそうだ。もしかして迷子になってしまったのかもしれない。 「手分けして探しましょう」 「うん。僕は2階に行ってみる。村瀬さんは1階を探してくれる?」 「はい!」  棚橋さんは階段を駆け上がって行った。自分は大変な方へ行ってくれる。優しい人だ……なんて言っている場合ではない。社長を探さなければ。私も1階の隅から隅まで歩き回った。もしかしてすれ違いになっているのかもと思い1階をぐるぐると何回も回った。店員さんにお爺さんは見なかったかと聞いて回ったが、全員答えはノーだった。 「村瀬さん、いた?」 「いません。じゃあ2階にも?」 「うん、いなかった」  何処へ行ってしまったのだろう。まさか外へ出て行ってしまったのだろうか。それとも……。 「まさか誘拐……なんて事、ありませんよね?」 「社長だから身代金たくさん取れると思って? ……有り得るかも」 「警察に連絡しなきゃ!」 「いや、でもここは県外だ。社長の顔を知っでる人間はそうはいないと思うけど」 「じゃあもしかして、社内の人間の仕業とか……。社長がおいてけぼりになったのを知って、このドライブインに社長が来る事を知って、そして1人になったチャンスに……」 「じゃあお昼を食べたあとこのドライブインに残った人間がいるかもしれないって事? ……確かめてみるよ。僕たちの他に団体から離脱した人間がいるかどうか」
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