ドジっ子天使のお探しもの

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 昨日、彼女に振られた。プロポーズは済み、もう結婚間近というときに…。 「わたし、好きな人出来ちゃった♡」  呆気なく、振られた。相手はイケメン、高収入。ハゲで頭の悪い俺には引き止める力はなかった。それだけではない。アラフォーにして、会社は倒産した。 「親父、おふくろ、すまない。会社が倒産した」  肩を落として報告すると、まさかの返事が…。 「あなたも大変ね。うちは貯金全部詐欺に取られたわ」  世の中、不幸は続くもの。これはもう笑うしかない。だから、俺は今、公園で鳩に餌をやっている。暇すぎて、ブランコを漕いで、子ども達の憩いの場を汚している。 クソクソくそっ! 「空から隕石でも降ってこないかな〜!」  やけっぱちで、大声で天に向かって叫んだら、空から羽を生やした子どもが落っこちてきた。そして、子どもは、フラフラしながらも、なんとかストンと地面に降り立った。 「びっくりした〜、ホントびっくりした〜」  その子ども、天使はしきりにガタガタ震えている。これは悪いことをした。 「すまない。大声を出して」  謝ると、ようやく天使は警戒心を解いてくれた。 「よいしょっと。外界に降りたし、お仕事頑張ろっ。でも待って、どうしよ…すっかり誰を連れて行くのか忘れちゃった」  天使は大慌てで、落ち着きなく飛び回っては、ジャングルジムや鉄棒などにあちこちぶつかって、騒がしい。 「僕ね、せっかく死者を天国へ送るため降りてきたのに、誰を連れていくのかすっかり忘れてしまったの…だから、一緒に探して欲しい」  うるうるした目でたっぷり涙をためて、こちらを見つめてくる。とてもいじらしい。かわいい。こんなの、協力するしかない。 「で、そのお客の特徴は何か覚えていないのか?」  天使は、暫く考え込んだ。
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