雨売り

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ここのところこの界隈では雨が多すぎて、すっかり私はお払い箱だ。 その通り、私の職業は雨乞い祈祷師です。 「雨を呼べる力があったら、雨を追い払うことも出来たりしないんですか?」 長年の信者であるリンがパンケーキをむしゃむしゃ食べながら無責任なことを言ってくる。 「雨よ降るな!なんてなかったからね昔は」 嘆かわしい。雨が降って困るなんてこの百年言われたことがなかったのだ。時代が変わって消えていく職業なんていくらでもある。とうとう私の番が来たに過ぎない。 「では、こう考えてはどうです?豪雨で苦しんでいる一方で日照りの土地が必ず存在しています。日照りの土地へ出張していってそこで雨乞いをすれば、豪雨の地も救われるということはありませんか?」 リンはきっと現代で言えばコンサルタントというやつになってるな。なんでそんなに稼げるのか理解が出来ない現代職業の一つだわ。 確かに?昔と違って今は気象予報で日照りの地をリアルタイムに知り、飛行機ですぐに飛んで行ける。 新規開拓のチャンスに溢れているわけだ。 問題は、雨雲を呼ぶ技術がどう使えるか。 迷惑がられている雨雲を何百キロも離れたところに連れてくるなんて出来るのか?ということだ。 ま!やってみないとわからない。 安易な発想でまず私はサハラ砂漠へ飛んだ。リンと共に。 そこで雨を降らせるまで家には帰らない。 さあ!雨よ降れ
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