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「蝶ネクタイの気象予報士とアポイントメントを取りました。2時間後に会えるそうです」 翌日、リンのその言葉で私は目覚めた。時計を見ると朝の7時だ。 仕事が早い。早すぎだ。 リンに連れられるまま街一番のカフェへ赴く。 彼との約束の時間まで40分。こんなに早く来る必要があるのか。 時間を持て余し、リンへの感謝でも述べてみようと思い付いた。 「…お前は何故そんなに私に尽くすんだ。リンゴのためか」 思いとは裏腹にこじらせた言葉しか出てこない自分がいる。 しかしリンは気に留める様子もなく 「私は何もお返しが出来ていません。リンゴを差し上げても喜んで頂いていないのは気が付いていますし。せめてこれぐらいの事はさせてください」 と遠くを見ながら言うのだった。 「ところで、このご婦人は何だ?リン」 四人掛けの席の私の斜め向かいに年配の見知らぬご婦人が座っている。 「ヨシコ様です。あの蝶ネクタイのファンなのでご同席いただきました。私がシラー様に献上するサクランボを作っているお方ですよ」 そのとき、目の前に蝶ネクタイをした青年が現れた。 「お待たせしてしまいまして申し訳ありません!」 約束の時間までまだ30分なのだが! 「雨野様。ようこそおいでくださいました。ありがとうございます。どうぞお座りください」 リンは青年にヨシコの隣を勧めた。
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