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「はぁ…やれやれですな。」
「今回はずいぶんと苦労しましたな。」
勇者・ライアンの後ろ姿をみつめながら、男達はどこか晴れやかな顔をしていた。
「ところで、次もまた続けられるおつもりで…?」
「当たり前ではないか!」
「しかし、都会の方ではもうずいぶん前から
このゲームは廃止されてるとの話ですぞ。」
「当然ですな、こんなに長い時間と手間と資金を費やすのですから。」
男達の大半は、渋い顔をしていた。
「こ…この…たわけ者めがーーーっっ!!」
突然、発せられた雷のような大声に、男達は、目を見開き、顔を強張らせた。
「おぬしたちは忘れたのか…!
この山奥村が、勇者ゲーム発祥の地であるということを…
山奥村の誇りを忘れたのかーーーーー!」
老人の魂のこもった叫び声に、男達は決まりの悪い顔を見合わせた。
「思い出せ……おぬし達が勇者になった時のことを…
町を上げて、皆に歓迎されたあの輝かしい日々のことを……!」
老人のその言葉で、男達の脳裏には過ぎ去った、遠きあの日の記憶が鮮明に呼び起された。
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