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食べた事ないのかい。」 と、今度は老人が驚いたようだ。 「はい、初めて食べました。鳥肉と言ったら、鶏しか食べた事がないので・・・」 「そうか、物持ちの子供だね。坊やの家は」 と、感心した様に老人が言う。 「そんな事は無いですよ」 と、言ったがぜんぜん記憶に無いので何と言って良いか解らない。 「坊やが、寝ていたので、舟から降ろして抱っこして此処に連れて来たんだよ。初めは死んでいるのかと想っていたんだが、 生きているのが分かって良かったよ。」 老人が嬉しいそうに言った。 「僕は寝たまま此処に連れてこられたのですね。」 「そうだよ、今まで寝ていたんだよ。寝る子は育つと言うからね。 ぐっすりと寝ていたんだよ。」 ……一体この時代はいつの時代であろうか?私は過去に行ったのだろうか?時空を超えてしまったのだろうか?…… と言う疑問が湧いてきた。 ……どうやら、体は子供の様だが、知識は大人のままみたいだ。 昔の時代の記憶は残っている。もしかすると此処は江戸時代か? それとも、もっと昔か?………
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