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1渡る世間に鬼がいる 僕の名前は田上雄介。31歳、妻一人、子供一人と3LDK のアパートに暮らす、しがないサラリーマン。 4歳になる僕の息子の名前は友幸。 妻の名前は玲子。歳は秘密にしておこう。 僕の息子は頭の回転が速いのか、お喋りな子供である。 寝る前には、何かの昔話の絵本を読んでやらないと、眠りにつかない。 おとなしく聴いていてくれたなら良いのだが、好奇心旺盛な幼児で しつこく質問してくる。 それが一番の厄介である。 昨日は浦島太郎を読んでやったのだが、散々聞かれた。 質問されて気がついたのだが、海に潜ったのに浦島太郎は、 何故生きていられたのだろうか? 本当に、不思議なお話である。 今日は桃太郎のお話をするか! これは、余り質問もなさそうだと、たかを括って話しを始めた。 「ねえ、〜ねえお父さん。何で桃から赤ちゃん出てくるの? 僕はお母さんのお腹から出て来たと聞いたけど?」 と、最初から返答不可能な質問が飛び出してくる。 「桃から生まれたから、桃太郎って言うんだよ。 柿なら柿太郎だよ。たまたま桃から生まれただろう」 と、4歳児に解る様に説明をした。
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