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再び車を走らせ、15分。
街道沿いのホテルに乗りつけた。
「降りて」
駐車場に車を停め、
彩子に車から降りるよう促すと、
彩子は緊張を張り付けた表情を露わにした。
「本当に?」
「オトナなんだから、受け入れろよ」
「うん‥‥」
返事をしながらまだ車から降りようとしない
彩子より先に車のドアを開け、外へ出た。
そして助手席に回り込み、ドアを開けた。
「降りないと、二度と会わない」
「夏月」
「俺だってこんな強引なこと、したくない。
でも今の彩子に必要なのは、既成事実だよ」
その言葉を聞いて彩子はひとつ息を吐き、
両足を揃えてドアの外に出した。
「いい子」
彩子が車を降りたのを確認してから
ドアを閉め、後ろ手に鍵をロックすると、
俺は振り向くことなく
ホテルの入口に向かって歩き始めた。
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