ナナ

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「……そういう心配だったら、いらないよ。シーちゃん(エリシア)はね、スーちゃんの幸せを誰よりいっちばん願ってるから。間違いなくね」 「エリシア様が……わたくしを?」 「うん。ヒー君(イルヒラ)も、きっとそうだね」  エリシア様と共に我が国を千年、支えてくださったイルヒラ様。彼は、エリシア様が後塵の憂いなく戦いに注力出来るよう、グランティスの外交を支える立場の方でした。どうしてもエリシア様の影になりがちですが、エリシア様だけでなく彼がいたからこそ、グランティスの現在の繁栄があったのは間違いないと思います。剣闘場も強者との出会いに飢えて欲求不満な彼女のために、「だったら剣闘場でも作ってみたら?」とイルヒラ様が提案したのが始まりだったと伝えられています。 「グランティスの女王として生まれたから強くならなきゃ、なんて、シーちゃんもヒー君も気にしないと思うよ。スーちゃんが自分の一番したいことをして、幸せになってくれるなら」 「そうでしょうか……わたくしに都合よく解釈しすぎてはいませんか?」 「ないない! 私が保証する! 次にノア君達が帰ってきたら、スーちゃんのこと相談しておくから……テラ君にどんな言葉で気持ちを伝えるのか、ちゃーんと考えておいてね!」  ある日突然にその日がやってきても、迷わず伝えられるように。ナナ様は自信たっぷりの笑顔で、わたくしを激励するのでした。
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