10人が本棚に入れています
本棚に追加
夕方の事務所にて
「……以上がプレイ内容です」
洋室に、女性の声が響く。パンツスーツに身を包んだメイコがソファに腰を下ろし、ローテーブルに置いてある書類を手で示した。
「オプションは別料金。これは全部女の子のお金となる部分です。当然、本番行為は禁止。何かあればすぐにスタッフがかけつけますから、安心してください」
テーブルをはさんだ正面には、薄化粧の女性が座っている。年齢は三十代後半といったところだ。メイコとそう変わらない。
深い灰色のロングワンピースで、髪は黒。キレイな顔をしているが、幸が薄い雰囲気を隠そうともしていなかった。
メイコのほうが若々しく、ハツラツとして見える。
「ウチは会員制の高級デリヘルなので、お客様も質の高い方が多いんです。とはいえ、みながそうとも言い切れません。不潔なお客様は一握りしかいませんが、お金を多めに払っているぶん、変態的なお客様や尊大なお客様もいらっしゃいます」
神妙な顔でうなずく女性に、メイコは柔らかな笑みを浮かべた。
「不安なことがあったらスタッフに気兼ねなくお話しくださいね。この仕事が初めてなら、不安も大きいでしょうから」
「はい……」
自信のない、弱弱しい声だった。
「では、指導に移りましょう。初めてなら勝手がわかりませんよね?」
最初のコメントを投稿しよう!