夕方の事務所にて

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夕方の事務所にて

「……以上がプレイ内容です」  洋室に、女性の声が響く。パンツスーツに身を包んだメイコがソファに腰を下ろし、ローテーブルに置いてある書類を手で示した。 「オプションは別料金。これは全部女の子のお金となる部分です。当然、本番行為は禁止。何かあればすぐにスタッフがかけつけますから、安心してください」  テーブルをはさんだ正面には、薄化粧の女性が座っている。年齢は三十代後半といったところだ。メイコとそう変わらない。  深い灰色のロングワンピースで、髪は黒。キレイな顔をしているが、幸が薄い雰囲気を隠そうともしていなかった。  メイコのほうが若々しく、ハツラツとして見える。 「ウチは会員制の高級デリヘルなので、お客様も質の高い方が多いんです。とはいえ、みながそうとも言い切れません。不潔なお客様は一握りしかいませんが、お金を多めに払っているぶん、変態的なお客様や尊大なお客様もいらっしゃいます」  神妙な顔でうなずく女性に、メイコは柔らかな笑みを浮かべた。 「不安なことがあったらスタッフに気兼ねなくお話しくださいね。この仕事が初めてなら、不安も大きいでしょうから」 「はい……」  自信のない、弱弱しい声だった。 「では、指導に移りましょう。初めてなら勝手がわかりませんよね?」
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