辞める理由、働く理由

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 パソコンから少し離れた場所にカップを置き、立ったまま自身のカップに口をつけた。  作業を切り上げたメイコは、腕を上げて背伸びする。息を吐くと同時におろし、優希を見上げた。 「ってことは、ヤエコちゃん。近いうちに辞めるとか言いだしちゃうかな?」 「ああ……確かに。店としては残っててほしいですけどね」  肩を回すメイコが間延びした声を出す。 「ヤエコちゃんはエースだからね~。でもこの業界、辞めるのを止めるのも野暮だしな~」 「不思議ですよね、この業界」 「ん~?」  優希はちびちびと飲みながら続けた。 「男ができたから辞める子もいれば、男のために働く子もいるし、男に無理やり働かされるような子も、いるじゃないですか」  メイコが優希を見上げ、ほほ笑む。腰を上げてカップを取り、イスに座りなおした。 「確かに、そうだね。優希くんはどう? 自分の彼女が風俗嬢だったら」   んー、と考え込んだ優希は首を振った。 「俺、彼女いたことないからわかんないす」 「あ~……そうだったねぇ」
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