社長の立場では惜しまず

3/4
前へ
/177ページ
次へ
 画面に表示されているのは、熟女デリヘル「platinum latte(プラチナム ラテ)」のプロフィールだ。先ほど会った新人、「カナ」のページを開いている。  写真は、プロのカメラマンが撮影したものに差し替えられていた。体の細さを強調させるポージングで、中には下着姿になっているものもある。 「カナさんの人気はどんな感じ?」  ななめどなりのデスクに座る優希(ゆうき)が、入力作業をしながら答える。 「え~っと、カナさんは、新人ブーストかかって予約全部埋まってますね。はやくもリピついてます」 「ん、まあ、好きな人には、はまるタイプだもんな」  優希が作業の手を止め、律に視線を向けた。 「カナさんのこと気になるんですか?」 「まあ、ちょっとね」  律はカナのプロフィール画面を下に移動させていく。表れたのは、女性が出すブログだ。出勤報告とお礼の日記を毎日かかさず出している。 「カナさんかぁ。確かに、大変そうに見えますね」  ひかえめな優希の声に、顔を向けた。 「ほんとうは、真面目にOLやってたほうがいいタイプなんだと思います。いろんな人の相手をするのは慣れないみたいで。帰るころには疲れすぎて顔色変わっちゃってるんですって」 「そうだろうね。繊細な性格っぽいし」 「詳しくはわかりませんけど、どうしてもお金を稼がないといけないみたいですよ。オプションもNGないみたいですし」
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加