社長の立場では惜しまず

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 律はプロフィール画面に視線を戻す。優希の言うとおり、確かにオプション項目には、すべてに〇がつけられていた。 「稼ぐために無理してるんじゃない? オプションは必ずしも強制じゃないってのは伝えてあんの?」 「はい。メイコさんがちゃんと説明してました」  律は画面を見すえ、口元に握りこぶしを添える。 「飛ぶとかはないだろうけど、ちょっとようす見といてくれる? 俺だと見た目のせいで信用されてないみたいだから」 「それは俺たちも一緒っすよ」  優希が苦笑する。 「なんか、壁作ってる感じあるんすよね、カナさん」 「でもこのままじゃパンクする。カナさんには気を遣うよう他のスタッフにも言っといて。特に女性スタッフね」 「了解です!」 「それと……カナさんの指導をしたのは誰? メイコさん?」 「あ、いえ」  優希が答える前に、律がキーボードを操作する。画面に出たのは、女性の個人情報を管理するページだ。  カナのページを開くと、個人情報の下にメモが記されていた。 「ああ、夏妃さんなんだ。そうかそうか……」  ジャケットから白いスマホを取りだし、文字を打ち始める。画面を見る律の顔は真剣だ。  デスクの上に置いてある携帯電話が鳴った。優希がすぐに取って出る。 「はい。Platinum(プラチナム) Latte(ラテ)です」  今日もPlatinum(プラチナム)系列は順調に忙しい。まだスマホで文字を打つ律のかたわら、優希はいつもどおりに事務作業をこなしていった。
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