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不動のナンバーワン
繁華街の中にある、有名洋食店。老若男女の客がそろってにぎわいを見せる中、窓際の席に律は座っていた。
無造作にセットされた輝かしい金髪に、きりっとした目が印象強い整った顔。品よく着こなしている黒のスリーピーススーツは、どこに行ってもさまになる。
「今日はありがとう、律くん」
律の正面に座る女性が、顔を伏せながらぎこちなく笑っている。
「ほんとはさ、私以外にもいたでしょ、同伴したいって人。律くんは、人気者だから」
おろしたてのパンプスとふんわりとしたスカート。かわいらしくめかしこんだ女性は、髪を耳にかけながら律を見る。
「……あ、ちゃんとお金は持ってきてるから安心して。そりゃ、他のお客さんに比べたら、使えるお金は少ないけど」
女性の顔は真っ赤に染まり、口調も早い。その姿に律は吹き出す。
「ふふっ、かわいいなぁ、ユウちゃんは。そんなに緊張しなくてもいいのに」
「あ、だって、まだ、夢みたいで……。お店以外で会うの、初めてだし」
「そんなに楽しみにしてくれてたなんて、嬉しいよ」
派手な見た目に似合わず、声は甘く、口調は穏やかだ。
並みの紳士には負けない気品に、群を抜く顔の良さ。ここにいる誰よりも目立ち、女性たちの視線をかっさらっている。
「こっちこそ、わざわざ時間作ってくれてありがとうね。とりあえず料理食べよう」
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