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「違う違う! 俺はユウちゃんにそんなこと求めてないよ! ユウちゃんには苦しい思いをしてほしくないんだ、ほんとうに。俺も、いつもユウちゃんのことを守れるわけじゃないから……ごめんね」
律は笑う。女性の同情を誘う哀愁を、漂わせながら。
「でも、私が誰よりもお金を出せるようになったら、付き合える、よね?」
いたって真剣な声だった。
「そしたら、誰にも文句は、言われないよね?」
他のホストなら、これはチャンスだとほくそ笑むところだ。断りつつも感謝して、自身の売上に貢献させようとする。
律は違った。
「ほんとにそう思う?」
複雑な感情をのせた声と、真剣なまなざしで返す。表面上の遠慮も、感謝もない。
「それでもユウちゃんは、傷つくと思うよ」
あまりにも本気の態度を見せる律に、女性は声がつまる。
「ユウちゃんが無理をしてまで付き合っても、俺はお店にいるとき絶対に女性と一緒なんだよ? 仕事以外でも女性と連絡を取り合わなきゃいけないし」
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