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1.長女の悪役令嬢フラグへし折り宣言
リーシェン伯爵家には美人三姉妹がいる。
まずは長女、アイシラを紹介しよう。
貴族には何かしらの魔法が使える。
基本的に一人に一つの魔法を使うことができ、その素質次第では女性であろうと王宮の政務に携わる事や、魔獣討伐に出る者もいる。
女性に生まれたから必ず嫁がなくてはならない、なんて時代はもう終わったのだが、それはもちろん家を継ぐ者がいる場合だ。
女性でも家を継ぐ事は可能だが、もちろん“世継ぎ”は必要な訳で。
長女であるアイシラは、幼い頃からテオドーラ侯爵家の三男、コリンとの婚約を結んでいた。
「会議をするわ、集まりなさい」
「はぁい、アイシラ姉さま!」
「ユーリ姉、私のクッキー勝手に持ってかないで!アイシラ姉さま、ユーリ姉がぁっ!」
「ユーリ、ミア。クッキーは後で買ってあげるから貴女達に頼みたい事があるの」
そう言って金色に輝くストレートの髪を払い、紫のつり目を更に吊り上げたアイシラが机に置いたのは数冊の本だった。
「これは?」
「今流行っているロマンス小説よ」
「ろ、ロマンス小説···?」
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