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1章 普通の日常と奇抜な夢
灰色の世界が突然、黒一色に変わった。
物の形さえ確かめることができない闇の底
少女は辺りを見回したが当然何も見えることはなかった。
闇の中は時間がいつもより早く遅く感じた。
本当は数分なのだろうが体感で数十秒が経過したころ、闇と同居している静かさを引き裂き、どこからか声がした。
『私は---が---次第、---を----させる。だから、--の---は------任せるわ。よろしくね』
その声を聞き終えた途端、少女は息をつく暇もなく私は落ちていた。
遠くに見える一筋の光に向けて
地面が消えたのだ。
突然のことに頭が回らず、叫ぶことしかできなかった。
「うぁぁぁーー!」
空に浮かぶ雲がゆっくりと西から東へ移動する初夏の昼
1人の少女は空とは真逆の激動の時間を過ごしていた。
-ハァハァ
何かに急かされたように上半身を大きく跳ねさせて、飛び起きる。
過呼吸に加え、身体中汗でびっしょりだった。
幼さがまだ名残を見せる齢17の少女が使うには大きすぎる白のネグリジェから、淡いピンクの下着が汗で透けていた。
「うわぁ、汗でベトベトー、最悪、、、、」
仕方ないだろう
なんたって夢の中で自分が住んでいる街が焼け野原と化していたのだから。
単なる夢だとは思うが、余りに鮮明すぎた。
熱さを感じなかった灰色の炎でさえも熱いと感じてしまうほどに。
どうしてあんな夢を、、、、いやそれよりもあの声は何だったのだろう。
いつの日か、あの声を聞いた気がする。
いつかなのかは不明瞭だが、絶対に聞いたことがある
なにをお願いされたのだろう。
誰からお願いされたのだろう。
糸口が一向に見つからない問題をずっと考えたが、答えに辿り着けず数分で弱音を吐いた。
「いつか思いつくでしょ」と投げやりな声を空に投げ捨て、寝室であるこの部屋から駆け足で出ていった。
ヒントは聞き逃した声以外のところにあるのに。
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