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 三日間、ほぼ徹夜だった。  だからフィルム世代の監督は嫌なのだ。ビデオカメラには映らない「空気」とやらを映そうとして粘る。元々スケジュールがきつきつのピンク映画で、誰が見るかもわからない裸映画の現場にあんな人数を拘束して、どういうつもりなんだ?何か映ったのか?時代は変ったんだよ、おっさん。  俺はそんな事を口の中だけでぼそぼそと呟き、漸く解放されたアメ横の朝からやっている飲み屋の安い丸椅子の腹立たしい座り心地にうんざりしながら、コップの冷酒を呷った。朝の光が窓から差し込んで眼を射る。眠いのに神経だけがきりきりと立って、それでも後頭部を殴ってくるような安酒のアルコールに、俺の身体は妙な昂揚感に包まれていた。  その時、気怠く閑散とした店の中に、眩い陽射しをまとってあの女は現れた。女は俺にさっと近づいて来て、横に回り込んですっとしゃがんだ。ちょっと癖のある香りが鼻をくすぐる。 「はい、笑って。セイ・チーズ!」
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