1.お疲れの毎日

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1.お疲れの毎日

今日も先輩に怒られた。 全てが憂鬱なこの午後10時34分。 心がざわざわと音をたて、明日はいい日になると暗示をかける。 寝る直前に思い出す。 ミルクティー色のサラサラの髪、青緑色の瞳、そして、あの顔。 「絶対彼女いるのに…。どうして。」 大学の中庭で、今日も一人でランチタイム。 学食だと予想以上にお金を使ってしまうので、毎日お弁当を持参している。 栃木の田舎から東京に住むと慣れないことも多いが、それでも 頑張って生きているのだ。 カラスが木の上で鳴いている。 まるで私を小馬鹿にしたような鳴き方をするので少し悲しくなった。 すると、中庭に三人の男子がやってきた。 自分だけ(公共の場だけど)の空間に足踏み入れられるといい気はしない。 が、目で彼を見た瞬間、その思いは消え去った。 「あ、この前の人。」 聞こえないように小さく独り言を言う。 今日は友達がリア充になった。 ため息を吐きながら俺は夕食を食べる。 大家族のうるささが今では恋しい。明日はいい日になると暗示をかける。 瞳を閉じて思い出す。 綺麗な薄紫の髪、紺色のクールな瞳、そして、あの顔。 「絶対彼氏いるのに、なんで。」 友達と学食のサンドイッチを買い、中庭へと向かう。 料理が下手なので、お弁当なんて持ってこれない。 大家族の次男の俺は一人暮らしは静かすぎて不安だが、それでも 一人暮らしをやめようとは思わないのだ。 中庭に、見覚えのある薄紫の髪が目に映った。 彼女と一瞬、目があってしまった。 「え、この前の子。」 友達に聞こえないように小さく独り言を言う。 「「恋人って居たりするのかな。」」
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