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そんなこんなで、話題は八雲の話へ戻る。
佐野さん「八雲は民謡が好きで……それを集めていたんですね。しかもラブソングだけを」
と話し始めた時に、スタッフの方が舞台へ出てきた。
佐野さん「で、その民謡を構成して……勝手に曲をつけてみたんで、あのー……ちょっと聞いてやってもらえたらと」
(……はい?)
スタッフが下手から差し出したアコギを、佐野さんが受け取って構えた。
佐野さんの歌なんて、CDでしか聴いたことはない。演技してる時とは全然違うな、こんなに綺麗に歌う人なんだなって、様子が全く思い浮かばずに聴いていたものだ。
舞台で口ずさむ彼の歌声は、CDで普段聴く、透明感のある柔らかいものと、なんら変わりはなかった。
演奏が終わると、客席から誰かが「文化祭!」と叫んだ。全くその通りで、客席もお二人も、どっと沸くのだった。
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