1.小泉八雲朗読のしらべ〜へるん先生傑作選〜編(2023.04.23)

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佐野さん「ああ、いいですよ」 (……??? い、いいの???)  あまりに早い快諾に、私の理解が追いついていなかった。  だから、佐野さんが右手を出しているのに、私は左手を出して、数秒、妙な間ができてしまった。 私「……あっ」 とわたわたしてから、右手を出し――  がっしりとして、大きな手だった。  あれだけ全身で朗読していて、額には汗まで滲ませていたのに、綺麗な手だった(まあ、拭いたんだろうけども)。  何より、大病を患ったとは思えないほど、肉付きの良い手だった。私の細い指の方が、よっぽど病気である。 私「うわぁあああ……ありがとうございますぅ……」  私の嗚咽にも似た言葉は、きっと他の客の雑踏に掻き消えていただろう。 私「来週のハイドパークもっ、楽しみにしてますっ!」 佐野さん「ああ、そうですか。是非是非、遊びに来てください」 (四十五も下の若造に!!! 敬語で!!! ぺこぺこしないでくださいよ!!! お行儀良すぎ!!!)
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