農家が雨を願う理由

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農家が雨を願う理由

雨よそろそろ降ってくれないか、頼むよ。 作物が干からびちまうよ。 これじゃ商売あがったりじゃねーか、くそ。 …なんてな。 もちろん、それもあるが。 本当に雨が降って欲しい理由。 それは仕事が休めるからだ。 毎日毎日、水をやって、害虫を駆除して、農家の仕事も意外と大変なんだぜ?腰なんか、毎日痛いさ。 何より、農家の仕事をしなくていい日は、母ちゃんの飯がとびきり美味い。連れ添って40年、もう息子達も家を出て二人で畑をするだけの毎日。もう年も年だし、飯は質素で良い。母ちゃんが漬けてくれた漬物、余った野菜で作る味噌汁、ちょっと甘めの卵焼き、納豆。それで充分だ。ただ、雨の日はすることもない、そんなときはスーパーに行って買い物をするんだ。料理好きな母ちゃんは目を輝かせて食材を買う。ハッキリ言って買いすぎだ。「もう二人なんだから。」そんな小言には聞く耳持たずあれもこれもカゴに入れていく。まぁ良いか、たまには。家に帰るとすぐエプロンを付け何時間もご飯の支度をする。こんな日くらい体を休めたら良いのに。そうして出来上がったご飯はハイカラで、息子達が好きだったものばかり。案の定、食いきれない分は次の日へ持ち越しだ、だから言っただろう。まぁ良いさ、美味いから。
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