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「とはいえ僕の場合、
後天性だからここまで喋れると
いった方が良いだろうな。
ただ聞こえない分、声の高低が
上手くいかない時があるかもしれない。
加えて言葉の表現が多少下手だという
点においてはご容赦願いたい」
「は……ハイ」
時々ジッと凝視するように
見てるのと思ったら口元を?
喋ろうとしなかったのも
子供らしからぬ声を落とした
話し方もその為か。
自分の声の感覚が掴めないから
殊更意識して声を押さえてるって訳だと
一応納得したものの……
にしても――
「何だ?そんなに声が変か?」
ポカンと凝視してることに
気付いて少年は怪訝そうな表情に変わる。
「あ、いや、そこじゃなくて。
凄く大人びた口調というか
丁寧過ぎるというか、それがちょっと意外過ぎて」
「君が――」
が、その言葉は続かなかった。
(俺が?何?)
一旦言いかけ止めたようにみえて
気にはなったが、少年の表情から
言いたくないないのだと悟って
俺は敢えて問い返えさなかった。
しかし……こんな子供から“君”って。
次第におかしくなって
思わずクスクスと声に出して
笑ってしまった。
「何故笑う?」
無表情で言う少年を見て
もう一度笑うと今度は
やや眉間に皺を寄せた。
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