もう一人の住人

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「悪い。 なんていうか君達まるで逆だなと思って。 お兄さんは大人だけど中身は子供で 君は子供なのにそんな口調だから」 「この喋り方、僕には似合わないってことか」 「いやいや、なんかそれはそれで ギャップあって可愛いかな」 フォローのつもりが 更に眉間の皺を濃くさせてしまった。 「笑いながら言われても信憑性に欠ける。 真実そう思うなら人は果たして笑ったりするだろうか? 多少なりとも違うという意識が介在するから 君のそのような態度に現れるのでは?」 「――全く、だね。スミマセン」 閉口するくらいに正論で うっかり論破されてしまった。 口調ばかりか頭も大人並かもしれないと 今度は胸の内で苦笑いした。 「あらためまして、俺はセキ。 ねぇ、君の名前教えて」 「――僕の名はイゼル」 「いい響きだね」 見間違いかもしれないが一瞬 イゼルの目が少しだけ大きくなった気がした。
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