もう一人の住人

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「昨夜はいなかったけど 何処にいたの?もう寝てた?」 「夕べ?ああ。 君が倒れるように寝てしまった後、 裏手の方にもう一軒家屋があってそこに」 「寝たというか、自分でもよく そのあたり覚えてないんだ。 あ、じゃ今はノーチェがそこで寝てるのか。 どうりでいないと思った」 「ノーチェ……?」 出会ってからほぼ無表情に近い少年が その時、初めて見せた全く別の顔に驚いた。 それは心の底から驚いているといった 風にも見えたが―――? 「なに?お兄さんがどうかしたの?」 「……ノーチェと言ったのか?」 「え?そうだけど」 お兄さんの名前くらいで どうしてそこまで驚くのか全く分からない。 しかも、何でもないと言い直した 少年の態度があまりにぎこちなくて それを聞いていいものか迷うほどだった。
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