もう一人の住人

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イゼルはそんな俺に、 「いや、僕の言い方にも問題があった。 お……知らないんだから仕方がないのにな。 ――セキ、 僕が兄と一緒にいない理由は そこら辺にあると思って欲しい」 「分かった」 「後、一つ約束して欲しいんだが 兄に僕の事は話さないで貰えないか? きっと混乱するだろうから」 「……うん」 全部が全部本当のことを話してるとは 思わないがそれで納得しろと 君が言うなら自分に拒む理由はないと思う。 「所で……兄を見てどう思った?」 「どうって」 同じ轍を踏まないよう 今度は即答を避け慎重に言葉を選ぶ。 「お兄さんと髪も目も一緒なんだね。 よく似ている。 二人して染めてるの?髪」 「どんな話を?……その……兄と」 イゼルの視線は俺の唇から動かない。 どんな答えを期待しているのは その表情からは全く読めないが 多分この答えは重要だ。 「子供みたいだったろ。 変に思ったんじゃないのか?」 兄の行動が単に気になるのか はたまた他人を通しての評価が 弟としてどうなのかが知りたいのかと 思いそこは正直に答えた。 「そうだな天真爛漫って言葉が ピッタリというか、外見とは 違っては見えたけど変じゃないよ。 なんていうか子供がそのまま 大人になった感じかな」
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